Copilot Studio導入事例:中小企業3社のBefore/After

Copilot Studio導入事例の前提となるサービス概要図。お客様のカスタムCopilotをローコードで開発できる統合プラットフォームとして、標準プラグイン・連携や独自Copilotの作成といった特徴を示している。

Copilot Studio導入事例:中小企業3社のBefore/After

「総務に同じ質問が何度もくる」「SharePointに資料を置いても誰も見つけられない」――。中小企業の総務・情シス担当者であれば、こうした悩みを抱えながら日々の問い合わせ対応に追われているのではないでしょうか。Microsoft Copilot Studioを活用したAIエージェントは、こうした定型・反復型の問い合わせを自動化し、担当者が本来業務に集中できる環境を作り出す手段として注目されています。

本記事では、社内ヘルプデスク、総務、営業支援の3つのシナリオを想定した導入事例を、Before/Afterの数値とともに紹介します。「自社でも本当に成果が出るのか」を判断する材料として、ぜひご活用ください。


Copilot Studioで「何を自動化すべきか」を考える前に

Copilot Studioを導入する際には、最初は問い合わせ件数の多い部門(例:人事、情シス)に限定して導入し、KPIとしてFAQ対応時間削減率・社員満足度・チケット処理スピードを計測しながら段階的に広げていくプロセスが重要です。

つまり「全社一斉展開」ではなく、問い合わせが最も集中している業務を1つ選んで小さく始めることが成功の鍵です。以下の3事例は、この「絞り込み戦略」を実践した例として参考にしてください。
ポイント: 導入前に「月間問い合わせ件数が多く、回答がパターン化されている業務」をリストアップしましょう。


事例1|情シス兼務の総務部門 ―— ITヘルプデスクの一次解決率を改善

Before(導入前の課題)

従業員規模100〜数千名の企業の情シス・ITサポート部門では、「パスワードを忘れた」「社内システムにアクセスできない」「ソフトウェアのインストール方法が分からない」といった定型質問が毎月数百件単位で寄せられていました。担当者は専門的なトラブル対応と並行して、これらの基礎的な質問にも都度対応しなければならず、本来の運用保守業務が圧迫されていました。

After(Copilot Studio導入後)

コニカミノルタ株式会社では、Copilot Studioを基盤とした社内AIエージェント(社内名「リテラ」)を再構築した結果、導入してから半年間で約2,500件の質問に対応し、3.6人月の対応工数削減に成功しました。2025年5月には有人対応と「リテラ」で合計804件のIT関連お問い合わせがあり、そのうち約23%をAIエージェントが対応しています。

指標 Before After
半年間の問い合わせ対応数 有人対応のみ AIが約2,500件を自動対応
対応工数削減 3.6人月削減
AI対応率(2025年5月) 約23%

表1: コニカミノルタ社における Copilot Studio 導入前後の比較

出典: comture.com「Copilot Studioで利用者1万人規模の社内ヘルプデスクを改革 - コニカミノルタ株式会社様 -」

なぜ成果が出たか

旧システムでは専用の回答データベースを整備する必要があり運用負荷が高くなっていたほか、情報更新にタイムラグが発生するという課題がありました。Copilot Studioへの移行により、対話型AIチャットボットとして再構築され、情報が答えられない場合には有人窓口へ自動でメール問い合わせするフローを実装したことで、ユーザー体験と運用効率の両方を改善できた点が効果の背景にあります。

中小企業へのヒント: IT問い合わせは「パスワードリセット」「申請フォームの場所」など上位5〜10パターンで問い合わせの大半を占めることが多いため、まずこれらだけを回答対象に絞ったFAQボットからスタートするのが現実的です。

事例2|人事・総務部門 ―— 社内相談AIで情報収集時間を大幅削減

Before(導入前の課題)

社内規程・就業規則・有給休暇申請・経費精算の締め切りなど、人事・総務部門への問い合わせは「マニュアルがあっても探せない」「誰に聞けばよいか分からない」という理由で集中しがちです。回答を受ける側だけでなく、質問した社員も回答待ちの時間が発生し、生産性が下がるという二重の非効率が生じていました。

After(Copilot Studio導入後)

ベネッセホールディングスでは、社内イントラネットに散在する情報を効率的に検索・活用するために、Microsoft Copilot Studioを活用した「社内相談AI」を自社開発しました。社員が担当部署へ電話やメールで問い合わせる前にこのAIに相談することで、情報に辿り着くまでの時間を大幅に短縮し、問い合わせを受ける側のバックオフィス部門の負担軽減と、質問する側の待機時間解消の双方を実現しています。

さらに、ベネッセホールディングスは社内相談AIの構築によって回答精度を81%から86%に向上させています。

指標 Before After
情報収集手段 メール・電話でバックオフィス照会 社内相談AIに即時質問
回答精度 81%(旧システム比較) 86%(5ポイント向上)
担当者の対応工数 問い合わせのたびに手動対応 AIが一次回答を自動化

表2: ベネッセホールディングスにおける社内相談AI 導入効果

出典: dga.co.jp「Copilotエージェント活用事例5選!業務自動化の仕組みと作り方を解説」・daitoku0110.news「Microsoft Copilot Studioで業務変革|国内外企業の導入事例と成果を解説」

なぜ成果が出たか

Copilot Studioの精度は参照できるナレッジの鮮度に依存するため、マニュアル・規程・FAQを整理・最新化してからSharePointなどのナレッジソースに接続することが効果最大化のカギです。

「AIが答えやすいデータ構造にする」という準備作業が、導入後の高い回答精度につながりました。


事例3|営業支援部門 ―— 提案準備時間の短縮と対応漏れ防止

Before(導入前の課題)

営業担当者は顧客訪問前に、過去の取引履歴・直近のメールのやり取り・最新の商品カタログをそれぞれ別の場所から探し出し、頭の中で整理してから提案書を作成するという手順が必要でした。この準備作業に1件あたり30分〜1時間程度を費やしており、件数が増えるほど負担が累積していました。

After(Copilot Studio導入後)

営業支援用のCopilotエージェントを構築すれば、「A社への提案資料を準備して」と指示するだけで、CRMのデータと製品情報を統合し、その顧客の課題に合わせた提案スライドのドラフトを自動生成させることが可能です。これにより、営業担当者は資料作りではなく、顧客との対話や関係構築に集中できるようになります。

定型的な問い合わせや資料作成を自動化した場合、FAQ対応時間が1件あたり30分から5分に短縮されるという事例もあり、社員100人の利用で年間数百時間の削減効果につながります。

指標 Before After
1件あたりの提案準備時間 30分〜1時間 5〜10分(情報収集部分)
情報の参照先 複数システムを個別確認 エージェントが一元的に統合・提示
対応漏れリスク 手動確認のため発生しやすい 自動チェックで低減

表3: 営業支援シナリオにおける Copilot Studio 導入前後のイメージ比較

中小企業へのヒント: 営業支援は「提案準備の定型化」から入るのが効果的です。商品カタログや価格表を SharePoint に整備し、それをナレッジソースとして接続するだけでも、情報収集の工数を大きく削減できます。

3つの事例に共通する「成果が出た理由」

上記の3事例を通じて見えてくる共通パターンを整理します。

① 「量が多く・答えがパターン化されている」業務から始める

情シスへのIT問い合わせ、総務への制度説明、営業の提案準備など、いずれも「件数が多く・回答がある程度決まっている」業務です。こうした業務こそ、AIエージェントによる自動化効果が最大化されます。

② ナレッジを先に整備する

Copilot Studioの精度は参照できるナレッジの鮮度に依存するため、SharePointなどに格納するマニュアル・規程・FAQを整理・最新化してから接続することが、AIの答えやすいデータ構造を作るうえで不可欠です。

③ Teams上で展開し、利用ハードルを下げる

Copilot Studioでは、エージェントがナレッジソースにリンクされると自動的に応答を生成でき、ノーコード・ローコードでエージェントを設計できます。

Microsoft Teamsというすでに使い慣れたツール上でボットを公開することで、社員側の学習コストなく導入が進みます。

④ KPIを設定して効果を可視化する

成果を数値で示すことで、社内理解と経営層への説得材料になります。

「問い合わせ件数の削減率」「一次解決率」「対応時間の変化」の3指標を最低限計測するようにしましょう。


まず何から手を付けるべきか

導入前に迷っている方には、以下のステップをおすすめします。

  1. 問い合わせログを1ヶ月分集計し、上位10パターンを抽出する
  2. SharePointにFAQ文書を集約・最新化する
  3. 無料版でパイロットボットを30分で作成し、Teams上でテスト展開する
  4. 2〜4週間のPoC期間を設け、一次解決率を計測する
  5. 経営層に数値で報告し、本番運用・範囲拡大の承認を得る

無料版の始め方については、こちらをご覧ください。


まとめ

Copilot Studioの導入事例から見えてくるのは、「大企業でないと成果が出ない」という思い込みの誤りです。コニカミノルタの事例では半年で3.6人月分の工数削減、ベネッセの社内相談AIでは回答精度が86%まで向上しています。重要なのは全社展開ではなく、問い合わせが多い業務を1つ絞り、ナレッジを整備してから小さくスタートすることです。

中小企業が最初に狙うべき領域は、総務・人事・情シスへの定型問い合わせ対応です。まず1つのシナリオで数値を出し、経営層への提示材料を作ることが、本番運用への最短ルートになります。


よくある質問(FAQ)

Copilot Studio導入で問い合わせはどれくらい削減できますか?

コニカミノルタの事例では、Copilot Studioベースのエージェント導入から半年間で約2,500件の質問に自動対応し、3.6人月の対応工数削減を達成しています。

削減幅は対象業務の問い合わせパターンの集中度と、参照ナレッジの整備状況によって左右されます。定型質問が全体の7〜8割を占める業務では、AI対応率20〜40%を目安に初期目標を設定し、ナレッジの精度向上を重ねながら段階的に改善するアプローチが現実的です。

中小企業でも Copilot Studio の導入成果は出ますか?

中小企業でも成果は出ます。成功の条件は企業規模ではなく、「月間問い合わせ件数が多く、回答がパターン化されている業務を選ぶこと」です。

最初は問い合わせ件数の多い部門(例:人事、情シス)に限定して導入し、小規模で効果を検証しながら段階的に広げていくプロセスが重要です。

社員100名規模であれば、総務・人事への定型問い合わせ対応ボット1本で、年間数十時間〜数百時間の削減効果が見込めます。

Copilot StudioはSharePointの社内資料をそのまま参照できますか?

SharePointに格納した文書をナレッジソースとして直接接続できます。

エージェントがナレッジソースにリンクされると、自動的に応答を生成できるため、すべての事態に備えてトピックをあらかじめ作る必要はありません。

ただし、回答精度はナレッジの鮮度と構造に依存するため、古い文書や整理されていない資料が混在していると誤回答の原因になります。接続前にSharePoint内の文書を最新化・整理することを推奨します。

Copilot Studio導入のBefore/After比較でどの数値を追えばよいですか?

一次解決率・対応時間(1件あたり)・月間問い合わせ件数の3指標を計測することを推奨します。

これらのKPIで成果を数値で示すことが、社内理解と経営層への説得材料になります。

加えて、社員満足度(ボット回答の評価)とエスカレーション率(AIが答えられず人間に引き継いだ割合)を補完指標として追うと、改善ポイントが可視化しやすくなります。

Copilot StudioとTeamsはどのように連携しますか?

Copilot Studioで作成したエージェントは、Microsoft Teamsのチャット画面に直接展開できます。

IT ヘルプデスク エージェントは、組織のナレッジベースを使用して運用効率の向上と従業員の満足度向上を実現し、エージェントに具体的な回答がない場合はエスカレーションチケットを作成する仕組みも構築できます。

社員はすでに使い慣れたTeamsから離れることなく質問できるため、ボットの利用率が高まりやすく、導入後の定着にも有利です。


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データを起点に、課題の整理から施策の実行・運用定着まで一気通貫で伴走します。 流入〜CV・LTVといった指標をもとに、成果を妨げる要因を構造化し、現場で回せる手順と判断基準に落とし込める点が強みです。 様々な業界の幅広い現場で、担当者の負荷を減らしつつ成果につながる“仕組み化”を進めてきました。 承認の集中や情報の分散、手作業の繰り返しも整理し、AIエージェント/自動化まで落とし込み、少人数でも回り続ける運用を実現します。

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